彼女の顔がどうしても思い出せない・・・

これは、私が高校2年の時に体験した片思いの「初恋」です。

小中学でも初恋らしき体験はしましたが、実感としてある「初恋」は高校の時です。

                                              

それは、高校への通学から始まりました。電車通学です。

彼女は1学年下の同じ高校で、一つ前の駅から乗っていました。

誰でもそうでしょうが、電車を待つ駅のプラットホームはポジションが決まっているものです。

彼女と私は偶然にも同じ車両でした。3つある扉の両端で距離は離れていましたが・・・

初めは意識していなかったのですが、彼女の笑顔を見ているうちに突然 好きになりました。

通学の電車は高校の駅まで20分ほどでした。

私は同級生の親友3人と、彼女も親友3人と乗っていました。

私は親友と雑談をしながら、しきりとチラチラと彼女を見ていました。それだけで幸せでした。

髪は天然のカールがかかり、色はブラウンでした。

                             

駅に着き、そこから学校までは歩いて10分ほど。

私は彼女の後ろ姿を見ながら自然に歩いていきました。

問題は それからなのです。

1時間目が始まる10分ほど前、彼女と別れて10分も経たないのに、彼女の顔がまったく思い出せないのです。

ヘアスタイルは思い出せるのです。でも肝心の顔が何一つ思い出せないのです・・・

「真っ白」なのです。

授業中も思い出すことしか頭の中にはありませんでした。

デッサンや画は得意でしたので、授業中もシャーペンでノートに何度も思い出しながら書こうとしましたが、

全然ダメ!あれほどストレスが溜まるとは思いませんでした。

イエに帰っても そのことばかり。何も手に付きません、勉強どころではありません。

                                   

次の日、彼女の乗った電車を待ち、彼女の顔を見て安心しました。

「あっ!この顔だ〜!」「忘れるわけないよ〜」

そして、しっかりと目に焼き付けるのでした。

でも1時間目の授業が始まる時には「真っ白」・・・

「何なんだ!これは!!!」こんな経験は初めてでした。

カメラの露出オーバーみたいなものでしょうか・・・

これが、1年半以上も続いたのですから気が狂いそうでした。

「告白しょう」とか「手紙を書こう」とか以前の問題でした。

「お願いだから顔だけでも記憶させて」これが望みでした。

そんな毎日が続き、とうとう卒業を迎えました。

結局最後までダメでした。脳裏に焼き付けることさえも無理でした。

彼女は通学の時の「たった30分のシンデレラ」だったのです。

眩しすぎたのでしょうね。今でもいい思い出です。


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